(一寸変わった「３期生会」を行ったことついて)

平成１５年９月１３日～１４日に、一寸変わった３期生会を行いましたので

保管していたＣＤを修正して「力さんのホームページ」に

平成22年10月掲載しました。(24.3.29修正)

力武　保光

昭和30年(1955年)防大入校

「342小隊同期生会」の開催について

本題に入る前に次のことが、話の発端になりました。

陸上ＯＢのＳ君(愛知県在住)から、毎年の年賀状に防大入学時の同期生会を開こうとの話がありました。

今年になって(平成15年)、「秋に開催したいがどうか」との打診があり、「私はいつでもスケジュールを合わせることと、開催するなら、関東地区在住の者が計画する」旨をＳ君に伝えていました。

次に彼からの暑中見舞状の中で「９月か１０月ごろに開催したい」という連絡があり、その時は、どうせ遠方の方々(熊本、大阪、京都、愛知各１名)がいるので(残りは関東地区です)無理だとだと思っていました。

当時３４２小隊の1学年は１２名でしたが、この内２名は１年の夏休みに依願退学していました。

Ｓ君はこの１年の時に退学した２名のうちの１名を含め１０名の者と今でも文通を行っているようで、１０名のうち脳溢血で倒れた者と、心臓病を患っている者を除き計９名が９月１３日(土)～１４（日)の１泊旅行に参加するとの返事を得たとの連絡でした。

(私を含めた１０名のうち航空は私と松田君で、残り８名は全員陸上ＯＢです)

その連絡を受け、これは、真剣に計画しなければと急きょ色々の所と調整を始めました。

まず、第一にあと一人の「依願退校した者」を探し出すことでした

この当事者は井上君といい、彼は私と松田君と同室でしたので、どうしても探そうと考えました。（その時は彼の「名」の部分を完全に忘れていました）

防大の人事課に電話をして、「昭和30年入校の井上姓の全員(5名いました)の出身高校を調べてもらい、私自身が彼の出身高校を覚えていましたので（佐賀県内の高校）姓名の名の部分が判った段階で、その高校の同窓会本部に問合せて、彼の現住所を確認することが出来ました。

彼は山梨県内に在住していましたが、このとき今回の「一寸変わった同期会」の大筋の計画も立てていましたので、早速電話にて呼び掛けましたところ、「喜んで参加する」旨の快諾を得ることができました。

次に(第二)宿泊先をどこにするかということです

Ｓ君からの連絡では９月１３日(土)～１４(日)に決定ということですので、これが絶対の前提条件となります。（土曜日宿泊なので大変なことだと思いました）

東京で開催するには、首都圏に在住している人数が半数いますので、東京で宿泊して宴会を行うことは、これら首都圏に在住している者には、まず無意味と判断しました。

次に最近横浜地区には人気のスポットが多くありますので、その周辺のホテルに泊まり、中華街での宴会を検討してみましたが、宿泊するのが土曜日ですので、宿泊の予約および経費・宴会費を考えた時、遠方から参加する者にとっては、旅費等を加算するとかなりの経費となり、この案も取り止めました。

そこで今回計画した概要ですが「メインを防大見学として、横須賀に宿泊、宴会を行う」という案でした。

ご存知の通り、昔は横須賀には「横須賀クラブ」「防大走水荘」がありましたが、これらの施設は昨今の「国家公務員共催組合宿泊施設」同様に経営不況から軒並み閉鎖しています。また一般のホテルを確保したとしても、宴会時間に制限があり、余り落ち着いた雰囲気になれないのではないかと判断しました。

そこで私が防大卒業数年後に防大教官として勤務していた時、よく宴会で利用していた旅館「東京湾」に予約を申し込みましたところ、ここの女将が覚えていてくれて、他の予約をやりくりしてくれて、更に２日間にわたるツアーのマイクロバスのサービスまでしてくれるということになりました。（この旅館はわれわれが学生時代、走水の海岸で水泳訓練を行っていた時、そばにあった「小さな海の家」の富永酒店が旅館に発展したものです。もっとお知りになりたい方には、「オートバイのお姉ちゃん」がここの女将です）

ここでしたらゆったりとした雰囲気の中、時間を気にすることなく懇談ができるものと思い、ここに決定しました。

結局は１２名のうち、１０名が参加することになりました。

３４２小隊「同期生会スケジュール表」

日付	スケジュール
9月13日 (土)	14:00　　　　　集合(京浜急行　堀の内駅改札口) 　　　　　　　　改札口は1ヵ所です 14:00～14:20　　小泉総理私邸立寄り 14:30～16:30　　防大見学 (この間の移動は宿泊先のマイクロバスを利用) 16:30～17:00　　徒歩にて宿泊先へ移動 17:00～18:00　　休憩。ビデオ観賞「任重く道遠し」 18:30～　　　　宴会。 宿泊先：割烹旅館「東京湾」横須賀市走水1-2-19 　　　　　　（電話0468-41-0133又は0120-533-714） 　　緊急連絡先　xxx－xxxx－xxxx力武　携帯電話)
9月14日 (日)	朝食。 0900　　　　　宿泊先出発 0920～1000　　観音崎灯台 1020～1045　　ペリー記念碑 1100～1200　　野比海岸、三崎港、城ヶ島 1210～1320　　三笠公園 1330　ごろ　　横須賀中央駅 (この間の移動は宿泊先のマイクロバスを利用) 散策後、横須賀中央駅付近で昼食 その後、解散。
○総経費見積　　１泊２食付、宴会費、宿泊先のマイクロバスの利用費込み １人当たり15,000円　以内。

次に(第三)考慮したことは、最近私を含めて同年代の者は、直前まで確実に連絡していないと、当日になって、すっかり忘れてしまう現象です。 とにかく「何度も連絡すること」だと思い、今回は計画決定後も「修正した計画を送付」し「あと１０日後です」「今週の土曜日です」と何回も繰り返し連絡しました。(これは家族にも知ってもらうための配慮でした) その結果全員が１分も遅れることなく集合することができました。 ここからは、写真を取り込み、細部を報告します。
京浜急行「堀の内駅」集合	集合場所は堀の内駅としました。 　当初、横須賀中央駅を予定していましたが、事前偵察で、駅の出口が３ヶ所もあり、またマイクロバスを止めるところもありませんでしたので変更しました。
小泉総理は、馬堀中学出身ということは知っていましたが、当時は学区の範囲が広く三春町にご自宅がありました。(馬堀中学までは徒歩で40分位は掛かったと思います) 勿論門前の警官にことわって写真を撮らせてもらいました。	小泉総理の私邸前での記念写真
防大正門前にて	昔と違って正門前の広場も本館も素晴しい状況でした。 今回集まった同期の連中は、「ホームカミングデー」はもとより卒業以来、防大を訪れるのは初めての者がほとんどでした。
「国の護り」彫刻像の前にて	このモニュメントは、防大創立50周年記念として作られた「国の護り」彫刻像です。 (　高さ約5ｍ　製作者　高橋　洋氏　) 台座が３脚になっていて「３本の矢」を象徴したものとのことです。

給水塔屋上から猿島方面を望む	昔の給水塔は完全に建て替えられていました。 現在の塔はその屋上までエレベーターで上ることができます。(10階)　しかも、展望用にも利用でき、素晴らしい眺めを体験できます。 実は今回集まった内の4名は昔の塔のテッペンに登った体験をもっていて、約3m四方の屋上でしたが、ここでふざけて相撲をとる格好をしたことが話題になりました。しかも丁度国旗降下の時間となり、このテッペンから本館を見下ろして敬礼をしたことを覚えています。 このときは、なにもお咎めなしでしたが、その翌日以降は給水塔の1階の周辺に鉄条網が張りめぐらされていました。
給水塔屋上から横浜方面を望む

槙校長の胸像の前で	第3大隊学生隊舎前にて
3大隊学生隊舎を後に、徒歩で走水に抜ける通用門を通って坂道を下って行きました。４０分程度ゆっくりと「拳銃射場の跡地」「ポンドに抜ける、けもの道」「防大クラブ跡地」「走水小学校」「走水水源地」などを見ながらの行程でしたが、往時のカッター訓練等をも思い出して、全員に大好評でした。 宿泊先の旅館「東京湾」には予定時刻どおり到着しました。 その日の宴会が盛り上がったことは、云うに及びません。 ２２：００過ぎまで１次会がつづき、その後は宿泊する１室にて午前２時ごろまで２次会を行いました。 旅館にはだいぶ迷惑をかけたようですが、女将も昔の防大生気質をよく理解している人なので、そこのところは大目にみてくれました。
次の日の行程です。
全員、二日酔い気味でしたが、翌日は「観音崎灯台」「ペリー記念碑」１年時の夏期訓練で行軍した「野比海岸」(この行軍には夏休み中に退学した2人も参加していました)「三崎港」「城ヶ島」を経て「三笠公園」に立ち寄りました。
三笠記念公園「東郷提督」像前にて	久しぶりに訪れた「三笠公園」は往時と比較して、極めて整備が行きとどいていました。 私自身、昔、航空自衛隊幹部学校の教官の時、司馬遼太郎氏著「坂の上の雲」を題材にした考察を試みました時、何回もこの著書を読み返し、また海上の幹部学校でも資料を読みあさり、日本海海戦の時系列的動きは、理解してはいましたが、今では小学生でも判るように海戦経過をビジュアル化しています。機会があれば是非、訪れてみてください。
昼食は横須賀名物海軍カレーでした	最近、横須賀ではどこへ行っても海軍カレーののぼり旗が目につきます。 解散前の昼食として全員でこのカレーを試しに食べてみることになりましたが、私にとっては防大の時に食べたような味で、余り美味しいとは思いませんでした。
「おわりに」 今回、この企画で遠方から集まってくれた人達を含め全員から「本当に楽しい同期生会だった」とのコメントを得ることができました。 この会同の一番の功労者はＳ君であり、防大入校以来50年近くになるのに現在も殆どの全員と文通による交流を続け、彼が「いつかは１年時の同期会を開くのだという願望」を持ち続けた結果だと思っています。 私は彼が今日までもち続けたこの執念の因はいろいろあると思っています。 一つには、われわれ１２名の１年生は意外とまとまりがあったことが挙げられます。 この一例として、この１２名が主力となって入校後、５月頃に行われた第３大隊のソフトボール大会に優勝したこととか、入校後夏休みまでの間に、この1年生だけの小隊会を当時の「逸見クラブ」で開いて、日頃の鬱積を大いに発散する機会をもったことなどあげられます。 解散の前にＳ君は「次は２年後の愛知万博で再会しよう」と張り切っていました。 最後になりますが、後日　この同期会に参加した内の１人から次のような便りが来ました。 「今回の同期会は私にとって大きな転換期であったように思っています。このような集まりがなければ、毎日なんの目的もなく送り、ただ年を重ねていたように思います。これを機会に自分を見直し、まだ余力のあるうちに自分の行き方について、軌道修正してみようと思っています」とありました。 「同期会」の概要は以上のとおりでしたが、１人でも今回の企画が、今後の「生き甲斐」につながると感じた人がいたということは、計画した者として思わぬ喜びでした。
終わり(力武記)